アクシデント ~忘れてはいけない記憶~
1971年公開されたカーレース映画の傑作「栄光のル・マン(原題:Le Mans)」
スティーブ・マックィーン主演のこの映画は、今も多くのファンを引きつけています。この映画を見て、レーサーにあこがれたという人も多いのでは無いでしょうか。
実際のル・マンのサルト・サーキットで撮影されたこの映画には、ジャッキー・イクスやデレック・ベル、J・P・ジャボイユなどの一流のレーサーの多くも協力し、迫力あるレースシーンを描き出しています。
しかし、撮影中に大きな事故も発生してしまいました。
カーナンバー21番のポルシェ917をドライブしていたデビッド・パイパーが、右足を切断するという重傷を負い、引退を余儀なくされてしまったのです。
■ 映画撮影中の事故
撮影は、実際のサルト・サーキットで行われ、事故はアルナージュで発生しました。。
デビッド・パイパーのポルシェ917は両側のバリアに衝突し、マシンが真っ二つになり溝に停止したということです。
後にマックィーンは、この事故を元に似たシーンを別のマシンで撮影を行われました。
▼白いレーシングスーツ姿は主演のS.マックィーン(画像中央) 917Kの残骸を見つめています。
▼撮影に使用していた、“カメラカー”のバックショット。
事故前にカメラ席は取り除かれていました。
1971年に公開された「栄光のル・マン:のエンドクレジットには、
撮影中のアクシデントで右足を切断したデヴィッド・パイパーに対する感謝の念が記されています。
And Special Appreciation to
DAVID PIPER
for his Sacrifice
During the Filming of this Picture
■ デビッド・パイパー
デビッド・パイパーはF1にも1959~1960年に2回出走(他1戦は予選落ち)、
1960年イギリスGPの12位が唯一の完走であり最高位となっています。
しかし、スポーツカーレースでは多くの好成績を残しています。
1962年グッドウッドTT…5位
1963年ニュルブルクリンク1000km…6位
1963年ル・マン24時間…6位
1963年グッドウッドTT…5位
1963年コッパ・インテル・エウロパ…4位
1964年デイトナ2000km…2位
1964年スパ500km…4位
1964年ランス12時間…4位
1964年グッドウッドTT…2位
1964年パリ1000km…4位
1965年セブリング12時間…3位
1965年オールトン・パークTT…3位
1965年スパ500km…2位
1965年ランス12時間…4位
1965年コッパ・シッタ・ディ・エンナ…2位
1967年ブランズハッチ6時間…7位
1967年ツェルトヴェク500km…4位
1969年スパ1000km…2位
1970年デイトナ24時間…5位
などが記録として残ります。
撮影中の事故で右足を失い、レーサーとしては引退を余儀なくされたバイパーですが、2006年現在も、は76歳で健在、元気な姿を見せてくれています。
写真は2005年のヒストリックカー・レースに参加したときのものです。
情報および画像はサーリネンさん、まっくさん、MOZAさんより提供いただきました。
文章の再構成およびレイアウトは管理人:キャビン85が行いました
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