念願のF1デビューを果たした井出有治だったが、チームの状況は想像以上に厳しかった。まったくテスト走行を行うこともできず、自身の専用シートも作られないままのぶっつけ本番での実戦参加。チームメイトの佐藤琢磨に比べても約2秒落ちというタイムに対する評価は厳しかった。
シリーズ開幕後もテストを行う機会もなく、チームとのコミュニケーションにも語学力から問題がある中、FIAからライセンス剥奪という厳しい処分が科される。
これには、全12チームというF1参戦枠を巡ってのスーパーアグリF1チームへの政治的な圧力など様々な憶測を呼んだが、結果として井出有治の2006年の参戦は4戦限りとなってしまった。
夢断たれた形の井出は、フォーミュラ・ニッポンにダンデライアンから復帰。再びF1への道を探ることとなった。