マクラーレンのセナがウィリアムズのマンセルをリードするチャンピオン争いの展開。日本人F1ドライバーのパイオニア中嶋はこの年限りでの引退を７月に発表していたため、彼の鈴鹿でのラストランを見ようと多くのファンが詰めかけた。｛ありがとう中嶋」の横断幕、日の丸がサーキット中に翻る。さらに中嶋、亜久里予の二人のレギュラードライバーに加えて、若手の服部尚貴もコローニからスポット参戦。しかし、コローニのマシンではいかんともしがたく、服部は予備予選落ちを喫する。
　決勝レース、PPのベルガーが逃げ、セナはマンセルを抑える作戦に出る。そして１０周目、焦ったマンセルは1コーナーでコースアウト。マンセルの６度目のタイトル挑戦は、またも失敗に終わり、セナのチャンピオン獲得が決まった。セナはマンセルのリタイア後にペースをあげ、エンジンに不安を抱えるベルガーを抜き去り首位に立つと、そのままチェッカーを目指した。しかし、最終ラップ、最終コーナーでセナがペースダウン。その横をベルガーが抜き去っていく。セナはチームと自分の為に協力を惜しまなかったベルガーに優勝を譲ったのだった。
　この年限りで引退を発表していた中嶋悟は１５位スタートながら７位にまで浮上、入賞の期待が膨らんだが、３１周目のS字でステアリングトラブルに見舞われコースアウトしリタイア。グランドに翻る「ありがとう中嶋」の横断幕を掲げるファン達に手を振りながら静かにピットに帰った。

（観客：１４万８０００人）