マクラーレン・ホンダチームは89年シーズンを席巻し鈴鹿に帰ってきた。14戦13勝、これが日本GPまでに積み重ねた勝利の数。タイトル争いは当然、マクラーレンの2人のエース、アイルトン・セナとアラン・プロストの2人に絞られている。これまでの勝ち星もセナ7勝に対してプロスト6勝だが、ポイントはプロストがリードしている。鈴鹿でも激しいレースが期待されていた。
予選ではセナがこのシーズン12回目のPPを獲得。、プロストは2位でフロントローに2台が並ぶ。そして決勝レースがスタートした。
レースは終盤となり、トップを走るプロストをセナが追いつめる。そして残り5周となった48周目、シケイン進入で開いたプロストのインにセナは飛び込んでいく。これに対して、プロストシケイン進入の為にイン側にマシンを寄せていく。わずかにプロストが前に出ているものの、併走する形で2台は接触する。両者ストップし、プロストはその場でマシンを降りヘルメットを脱いでリタイアした。しかし、セナはリタイアを拒否、マーシャルに押されてシケインをショートカットする形でコースに復帰する。フロントウイングのとれてしまったマシンでコースを1周したセナは、ピットでノーズを交換すると、この間に首位に立っていたベネトンのナニーニを激しく追い上げていく。そして、ラスト1周でこれを逆転。セナはトップでチェッカーを受けた。
しかし、表彰台にセナの姿はなかった。優勝はナニーニでこれが初優勝。セナはシケインでの再スタートの際にシケインを通過しなかったとして、失格処分を受けたのだった。 その結果、A.プロストは自身3度目のワールド・チャンピオンを獲得した。 (13万2000人)
「レース前、オレはコースを譲らないとセナに宣言したんだ。ぶつけたのはセナ。(失格に)同情しない」
A.プロスト
「ウイングがなくなっているセナが見えたが、それでもセナは速かった。この優勝はセナにささげたい」
A.ナニーニ
|