2005年の日本GPはシーズン最高のレースとなった。劇的なレースを演出したのは土曜日の予選時の天候だった。
予選開始時は雨こそ降っていないものの、コースコンディションはウエット。予選後半から降り出した雨は、トップドライバー達を下位グリッドに押し下げてしまった。PPはトヨタのラルフ・シューマッハで2位にはBAR・HONDAのJ.バトン。佐藤琢磨も5位グリッドを獲得し、決勝への期待は高まった。
そして、決勝当日は晴れ。15万6000人の観客が見守る中、決勝はスタートした。
モントーヤのクラッシュの為SCが導入され、レース再開後レース中盤を盛り上げたのは、ミハエル・シューマッハ、アロンソ、ライコネンの3者による争い。前年までの連続チャンピオンに、新チャンピオンと、06年チャンピオン候補が争う構図。まさに勢力交代を印象づける構図だった。
マシンの速さでは、ルノー、マクラーレンに劣勢なミハエルだったが、見事なライン取りとテクニックで隙を見せない。19周目の130R。なんとアロンソは、ミハエルをアウトからパスするという豪快な走りを見せる。マシンの差はもちろんある。しかし、「勢いの差」を実感させられるオーバーテイクだった。
さらにはライコネンが元王者に襲いかかる。29周目1コーナーでアウトからミハエルをパスしていく。
さらに、再度アロンソとミハエルとのバトル。33周目最終コーナーを2台が連なって立ち上がるが、両者の勢いにははっきりと見てわかるほどのものがあった。ストレート半ばであっさりとフェラーリをかわしていくルノーのマシン。
レースは終盤になり48周目。3位を走るウエーバーとアロンソがバトルを繰り広げる。ブラジルGPですでに最年少ドライバーズチャンピオンを獲得したアロンソは、ウエーバーを追いつめていく。そして49周目ストレート。ピットの出口あたりでウエーバーのインに飛び込むアロンソ。右タイヤを芝に落としながらもマシンをコントロールしたアロンソは、そのままウエーバーをパスして3位に上がった。
残り4周、1位フィジケラと2位ライコネンの差は1.8秒。残り3周、0.6秒、残り2周0.2秒、テールtoノーズの攻防が続く。ラスト2周の1コーナー、ライコネンが仕掛けるがフィジケラはこれをブロック。優勝を狙うライコネンは、1コーナーで仕掛けるなら後一度のチャンスしかない。そしてシケイン進入で接近した2車は、わずかな間隔を保った状態で最終コーナーを立ち上がっていく。ライコネンがスリップに入る。
もちろんフィジケラもわかっているはず。スリップから抜けたライコネンは外側にマシンを振る、しかしフィジケラもこれをブロックすべく左にマシンを寄せる。「危ない!」はじかれるようにさらに左にマシンを振りつつ、フィジケラのルノーに並びかけるライコネン。このとき、ライコネンの気迫と速さがフィジケラを上回ったのだろう。アウトからフィジケラの前に出るライコネン。興奮するマクラーレンのPITクルーたち。今年、もっとも印象的な逆転が日本GPのフィナーレを飾った。
予選5位からスタートで期待された佐藤琢磨は、1コーナーでコースアウト。さらに10周目のシケインでトゥルーリと接触。レースは13位で完走したが、接触のペナルティとして失格の裁定をうけ、レース結果から除外された。
|